第7章 変わった目線
湊Side
やっと自分が不機嫌だと言うことに気づいた。
けれど不機嫌になっている理由が自分でもイマイチわからなかった。
七華がPC乙女ゲーをプレイしている様子をぼーっと眺めているとふいに思う。
[もしかして、七華が他の二次元キャラに擬似恋愛していることに妬いているのか?]
まさかとは思う。
彼らは俺達とは次元の違う世界で生活している。
あんまり思いたくはないが、その二つが交わることはない。
それに、自分もそれが好きな人間だ。
彼氏としての立場なら妬けるのもわかる。
けれど同じオタクという立場として、このこたちに妬くのは良くないのではないか。
俺は彼らには絶対に勝てないのではないか。
そんなどこから来たのかもわからない謎の自信に惑わされる。
俺がその疑問を頭でくるくるとループさせるように考えていると、七華が不意に言った。
「このスチルかっこいい。あぁ、好き。推す。」
そこで再びあの夕方感じた感情が浮かんだ。
そこで確信した。
俺は七華の推し達に対して妬いていると。
何をやってるんだって思った。
けれど、このまま不機嫌でいると七華に心配をかける。
そう思って俺は少し作り笑顔を造ろうとした。
けれど無理だった。
モヤモヤしながらもふいに七華を見た。
すると「やっぱり、少し様子おかしいよ。言いたくないなら、言わなくていいけど、言っていすっきりするようなことなら話、聞くよ。」と七華が心配そうに俺を見つめる。
これを言えば格好がつかないかもしれない。
同じオタクとして俺に失望するかもしれない。
七華に嫌われるくらいなら言いたくない。
そうすごく思ったがそれと同時にあることを思い出した。
七華は俺に嫌われるのが嫌で兄貴との真実を隠し通そうとした。
そして、ばれてしまったといえど俺にちゃんとすべて話してくれた。
だから言わないことは隠し事になると思った。
意を決して言うことにした。
「お前が好きすぎて辛い。」