第7章 変わった目線
私はそこらへんにあったトートバッグにノートPCと夕方買ったばかりのソフトを入れて、家を誰にもばれないようにそっと出た。
夜は羽織りを着ていても少し肌寒い。
冷たい風がスーッと抜けていくのがわかる。
私は湊の家まで歩く。
するとそこには携帯片手に、家の玄関の扉の前に立っている湊がいた。
「わざわざ、玄関で待ってたの?」
私は疑問をそのままぶつけた。
「何かあったら嫌だからな。七華に。とりあいず、寒いから入れ。」
湊は私が聞いたことにさらりと答えると、玄関の扉を開けた。
湊の言った通り、家の中には私たち以外誰もいない様子だった。
私に「これ、PC?」とトートバッグを指して湊が言うのでこくりと頷く。
するとさらりとそのトートバッグを私から取り上げ、そそくさと階段を上がっていった。
私はそれに着いていく。
二人で湊の部屋に入ると湊は
「PC、起動して。」
といっていつもならお菓子などが広げられている机を指す。
そこにはいつもなら綺麗に物がのってないのだが、珍しくペンタブやら、PCソフトなどが乱雑に広げられていた。
湊って絵も書くんだ。
少し意外に思いながらも、PCをその机の空いている場所に置く。
開いてパスワードを打って後は設定するばかりの画面にして湊の方向にPCを向けた。
すると湊はカタカタと作業を始めた。
10分もしないうちに作業をすまし、私の方へPCを向き直してくれ、「ダウンロード終われば始まる。」という。
不機嫌さは直っていない様子だった。
私は気になりながらも触れてほしくない話題なのかと思い、ダウンロードが終わったことを確認するとPCを閉じた。
そしてそれらをトートバッグに入れて帰ろうとする。
すると湊は「もう帰るのかよ。」といって座ったまま、私の手を引いた。
「もう遅いし、迷惑でしょ?」
私が湊にそう言えば、
「別に迷惑じゃねーよ。」
と言ってそっぽを向く。
側にいてほしいのかな、そう思い私は湊の隣に座った。