第7章 変わった目線
湊Side
楽しかったといってくれたことが嬉しかった。
デートをしたことが無かった訳ではなかったが、ここまで緊張したのは初めてだった。
自分の好きな奴に、何が好きかとかいろいろ考えて連れていったり。
それに対して喜んでもらえることがここまで喜びに感じられることだとは思わなかった。
けれどさっき感じたモヤモヤは解消されない。
そして、家に帰ってきて、ご飯が食べ終わって、風呂に入ってもそのモヤモヤは一切消えることは無かった。
その感情を忘れたいがために、俺は違うことを考え出す。
ノートPCを起動してペンタブで絵を描き始めようが、乙女ゲーをしようが、いつもの俺なら柄でもないギャルゲーをしようが、それは変わらなかった。
なんなんだよ。
どんだけ、何をしても、消えない。
この感情にうざったらしく思う。
絵を描けば、いつもならかけるはずのものがかけず、曲線はガタガタ。
乙女ゲーや、ギャルゲーをすれば即、バッドエンド。
何をやってもダメだった。
俺は、不意に携帯を見る。
七華からメッセージがきていた。
[湊、ヘルプ。さっき買ったPCゲー、起動の仕方わかんない。確か、同シリーズ持ってたよね?教えて。]
俺は部屋においてある時計で時間を確認する。
夜の12時。
この時間は七華の家はとっくに電気は消えている。
あいつのことだし、文字上で教えてもわからないだろう。
今日はうちなら、父は残業、母は温泉旅行、雛は泊まりがけで専属モデルにむけて撮影。
俺が玄関の鍵を開ければいいだけの話だ。
七華のPCもノートのはずだし、こっちに持ってこれるはず。
俺は七華に連絡する。
[おばさん達もう寝てるだろうし、うちは今日は俺しかいないからPCとソフト持ってうち来い。]
すると送信してから一分もせずに
[りょかー。]
と連絡が来た。
俺は玄関の鍵をあけ、家の外で待つことにした。