第6章 外れた道を戻すために。
雛斗Side
今俺は湊の部屋にいる。
俺に夜空けておけとかいっておきながら話があるから呼んだのだろうに何も話さない。
呼ばれた意味がない。
俺は「用事ないなら部屋戻っていい?暇じゃないんだけど。」といって軽く立ち上がろうとした。
すると湊は下を向きながら「お前、何か隠してるだろ」という。
正直隠し事は複数あって何かわからなかった。
「何のこと?」
俺はとぼけたふりをしていう。
「ノートのこととか、あとは七華のこととか。今いったことで心当たりがあるなら話して欲しい。」
湊はすごく真面目な顔でいった。
よっぽど気になるんだろう。
俺は「なんで教えなきゃいけないの?」と言ったが、後々になって思った。
そのうち七華ちゃんが湊に話すかと。
だから俺は「まぁいいよ。そのうちバレそうだし全部話してあげる」と言った。
そのあと七華ちゃんと俺の間にあったことを全部話した。
ノートの内容も、すべて。
それを聞いたうえで湊は俺に「俺のこと好きって本当なのか、あいつ」という。
俺は「さーね。逢人はもともと人のこと見てる人だったしそうなんじゃない?ただ今はわかんないよ。」と言った。
けれど内心、[絶対、湊が好きだったんだろうな]と心の隅で思っていた。
けれどそれを口に出していえば自分の負けを認めることに気がした。
だからあえてそれは言わない。
俺は殴り書きでメモに七華ちゃん宛のメッセージを書いた。
それを湊に押し付ける。
俺はいつもどおりにしているつもりで「行ってきたら?ベランダ経由すれば今の時間でも行けるんじゃないの、七華ちゃんの家。ついでにそのメモ七華ちゃんに渡して。俺はもう行くから」と言って部屋を出た。
心苦しい以外に残るものはなかった。
けど、俺達が一緒にいても幸せにはなれない。
その事実を彼女につけつけられた以上、一緒にはいられない。
俺は事務所に電話をかけた。