第5章 三角関係から始まる関係の崩壊。
私は雛斗くんが部屋から出て行ってもそのままベッドの上でぼーっとしていた。
すると
ガチャ
扉の開く音がした。
部屋の出入口を見るとそこには湊が立っていた。
私は無言でその部屋から立ち去ろうとする。
湊はすれ違ったとき私の手を軽く掴かんだ。
「何」
私は思わず冷たい態度を取ってしまう。
湊はすごく冷たい声で
「お前、雛のこと好きじゃないだろ?」
といった。
ご名答だ。何がきっかけでそれに気づいたのかはわからないが、その通りだ。
「だからさっき別れた。聞きたいことはそれだけ?」
私は無理に前に歩こうとする。
けれど前に進もうとするとだんだんと手を掴むその手が強くなって言った。
「無理、しなくていい。お前はお前で幸せなれ。兄貴のことは気にしなくていい。」
湊はそういうと私の手を離した。
私は部屋を出る直前「明日は一人で帰るから」といった。
なんであんなわかったような口ぶりで話すのだろうか。
何も知らないはずなのに。
私にはわからなかった。
私は部屋に帰ると淡々と荷物を詰め直す。
対した量の荷物ではないが、さっきあったことが頭から離れずなかなか作業が終わらなかった。
あの時、ああしていれば。
そんなことばかりが頭に浮かぶ。
そう考えているだけで自分を否定している。
正直、今日の小旅行はとっても楽しかった。
けれど、本当に一瞬でその出来事は悪い思い出へと変わってしまった。
これは神様が私に与えた罰なんだと思う。
関係が直るとも思えない。
直ったらいいな、なんて生温い考えだ。
湊にされて何も思わなかったことが、雛斗くんにされるのには抵抗があった。
やっぱりまだ私は湊が好きだったんだって思い知るだけだった。
こんなぬるい考えをしているから私はすぐに同じ失敗をする。
自分が情けなくなった。