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ネットで仲良くしていた腐男子は幼なじみでした。

第5章 三角関係から始まる関係の崩壊。


雛斗くんが私にキスをしようとしたときだった。



キスする直前でとっさに手が出た。




その手は雛斗くんを押していた。



「ごめん、できない。」



無意識でその言葉が口からぽろりともれた。



「なんでだよ。なんでなんだよ。俺は七華ちゃんを手に入れられたんじゃなかったのかよ。」




雛斗くんからこぼれた涙がひらりと流れしたにいた私にぽたぽたと落ちてくる。




私は「雛斗くん、あなたは私と一緒にいても幸せになれない。」といった。



それは彼のためを思って搾り出した一言だった。



いつもの私なら自分の気持ちを押し殺して向こうの意見を飲む。



けれど二回も失敗したから今ならわかる。



この、気遣いはのちに雛斗くんにとって不幸になるきっかけになってしまう。



だから本当はこんなこと言いたくないのに、搾り出して言った。




私たちは一緒にいても幸せにはなれない。



どれだけ雛斗くんが好きだと言ってくれても私は湊が好きなのだから。



雛斗くんは自分の手を強く握り、拳をベッドに思い切り落とした。




その雛斗くんはとっても悲しそうで、私はなんてことをしてしまったんだろうとおもった。



たとえ、脅されていたのだとしても思わせぶりな態度を取ったのと変わらないのだから。



「雛斗くん、ごめん。雛斗くんは私といても苦しくなるだけになると思う。だからね、別れてほしい。」


私は意を決してその一言を発した。



「もちろん、ノートのことは約束通りばらしてくれて構わない。これ以上悲しむ雛斗くんは見てられないの。」


私がそういうと雛斗くんは大粒の涙を流した。




「......俺も脅すような真似してごめん。大好き、だったよ。」



そう私に告げると雛斗くんは部屋から出ていってしまった。



私は同じ失敗を何回も繰り返して二人も傷つけてしまった。



その罪悪感は一生消えないし、一生癒えない。



改めて実感した。




今後、どんなことがあろうとも、この痛みと向き合っていかなければならない。


そう思った。




彼らに背負わせた傷は重いもの。



すべては私に責任があるのだから。
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