第5章 三角関係から始まる関係の崩壊。
その出来事は本当に一瞬だった。
今までめまぐるしく動いていた時間が一瞬止まった気がした。
そして当たり前だが、悪い気はしない。
ただ一つ。
心に残ることがある。
それは逢人への罪悪感だ。
「ごめん。俺お前守るって約束したはず、なのにな。」
そういって湊は下に俯く。
本当は私だってこの気持ちに答えたい。
けれど、今は雛斗くんと付き合っている。
だから答えられない。
そして、いくら脅されているといえどその話にまんまとのる私も私だ。
これだけ、人に流されたり、脅されたりして、自分の気持ちがわからなくなるんじゃないかって怖い。
なのに、それでも流されてしまったりする。
何でこんな人間に生まれてしまったのだろうか。
そんな疑問しか生まれない。
手が届くのに、私が過去に同情で付き合ったりしなければ。
なのに、私は何で。
疑問しか残らない。
本当ならすぐに手が届くのに。
私は湊に背を向けて座っていた。
すると「どうゆうこと?」といって険しい顔をした、いつもと違う雛斗くんがやってきた。
それに対して湊は「悪かった。しばらくは席を外す。」そういって立ち上がろうとする。
すると雛斗くんは私にかけより、「いいよ。俺らが席を外すから」そういって私の手首を強く握って私を中庭から連れ出した。
いつもはにこやかで、ムードメーカーな雛斗くんなのに今の雛斗くんは違った。
雛斗くんは私を連れ出すとき、小さな声で
「何で何だよ。」
とすごく怒った顔で言った。
私は雛斗君に連れられて雛斗くんの泊まっていた部屋に来た。
手首を強く握られていたからかすごく手首が痛かった。
部屋には服などが散乱していたが二つあるベッドの上だけはどちらも綺麗だった。
「なんで、俺と付き合ってるのに湊なんかとキスしたの?」
すごく悲しそうな目で私の顔に手を沿えて雛斗くんは言った。
よくよく考えれば雛斗くんも被害者だ。
罪悪感だけが自分の中に押し寄せてくる。
すると雛斗くんは私に覆いかぶさり、ベッドに押し倒した。
「あいつにキスしたんだから、いいよね?」