第5章 三角関係から始まる関係の崩壊。
湊Side
俺は雛を離すととっさに財布と部屋の鍵だけ持って部屋を出た。
出る間際、雛が「どこいくんだよ。」と聞いたので「朝までには帰る。」そんなそっけない返事をして部屋を出た。
そのホテルには噴水がある中庭が付いていて気まぐれにそこにいった。
時刻は11時を指していた。
そりゃ、いないよな。
俺は噴水の周りにある椅子にどすりと座った。
すると「湊??」と七華の声がした。
前を見るとそこには七華がいた。
「こんな時間にどうしたの?」
「それはこっちの台詞だ。」
そんなやり取りをする。
七華は俺のとなりに座ると「何だか眠れなくて。湊は?」という。
正直な話するとさっきの疑問を思い切りぶつけたい。
するとおもむろに七華は話しはじめた。
「最近ね、自分の間違いばかりに気づくの。結構辛くて。あんまり寝れないんだよね。」
その言葉を聞いたとき、俺はいつのまにか七華を抱きしめていた。
守るって約束したのに。
もうしないと約束したのに。
愛しくなった。
こんな近くにいるのに自分のものにはならない。
ましてや、あんな奴のものだということにだ。
あんな女を取っ替え引っ替えする奴なんかに取られたことが再び悔しくなった。
俺は七華から離れ、見つめる。
「何かあったよね?話してよ。」
七華は真剣な顔でいう。
けれど、あれはもしかしたら兄貴の間違いかもしれない。それだったら自分に自惚れているだけだ。
そう思って話を切り出せなかった。
それと同時に俺は思った。
雛なんかに、あいつを渡してなるものか。
もしこれであいつが雛のものだっていうのなら俺は強引にでもあいつを、七華を手にしたい。
そう思った。
あの日の決心はどこに行ったんだと思わせる。
けれどそんなの気にしてられないくらいだった。
そんなことをしているうちに俺はいつのまにか七華の唇を奪っていた。