第4章 突然表れた風来坊は同士
店内の中はすこしシックな作りで、個室のようになっていた。
雛斗くんは、一度読者モデルのお友達から教えてもらって来て以来、気に入りよくここを利用するらしい。
私たちは入口から一番離れた奥の方の席に通された。
座ってすぐ私はカフェオレ、雛斗くんはアイスココアの注文をし、運ばれて来るのを待った。
運ばれて来るまでの間、私から話をするわけでもなく、かといって雛斗くんが本題を話してくれるわけでもなく、沈黙が続いた。
やがて、飲み物が到着して雛斗くんはいつもとは違う声のトーンで
「今日はこれについて聞きたくてよんだんだ。」
そういって雛斗くんは一冊のノートを取り出した。
そのノートにはどこかで見たことある字で「Diary」と書かれていた。
「これは何?」私は彼に不意にそう聞く。
すると雛斗くんは「逢人の日記帳だよ。あの人こまめだからね。」という。
「どこでそれを見つけたの?」
とっさにその言葉が出た。
すると雛斗くんはすこし悪戯な笑いをして「俺が今借りてる部屋で見つけたんだよね。」という。
何故私だけに見せるの?
そこに私は疑問を持った。
けれど聞けなかった。
私は何も言わず、黙っていた。
するの雛斗くんがしゃべりだす。
「それでさーこうゆうの見つけちゃったんだよね。」
ページをぱらぱらとめくってとあるページで手をとめる。
それを私に見せた。そこには衝撃の内容が綴られていた。
[今日の日記]
今日は久しぶりに七華とデートだった。
俺的にはすごく楽しかったけど、七華は今日出かけ先でたまたまあった湊と隣にいた女の子を気にしてた。
口に出してないけど、気になるんだろうな。
七華に告白した時、湊に取られるのが嫌で無理矢理話を引っくるめたのがダメだったんだろうな。
あの時は好きな人はいないって言ってたけど、よくよく考えたら湊のこと目でしょっちゅう追ってたし、あの時すでに湊が好きだったんだろうな。
別れてあげたいけど別れたくない。
もう少しだけわがままになってもいいかな。
そう綴られていた。
それは逢人がなくなる一ヶ月前の日記だった。