第4章 突然表れた風来坊は同士
放課後、湊に付き合わされた行きたいところとは、普通の本屋さんだった。
私の目線から見れば本といえば漫画、ライトノベル等が思い浮かぶが、湊が行った売り場はそれとは全く真逆の方向だった。
「湊、何買いに来たの?」
私は不意にそう聞く。
すると想定外な答が返ってきた。
「兄貴の好きだった作家?さんのサイン本が今日入荷するって聞いたから来たんだ。けど慣れてないもん買いに行くのって勇気いるだろ?だからお前連れてきたんだ。」
そう、少し自慢げにいって笑う。
この双子はどこまでお互いのことを大事にしているんだろう。
私には兄弟がいないからか、少しうらやましく思った。
その作家さんは読物が好きな人の中ではちょっとした注目の的らしく、逢人はその作家さんが書いた本がとってもお気に入りだったらしい。
そんなことは私は知らなかった。
やっぱり付き合っててもわからないことってあるんだな。
と思う半面、
私が知ろうとしなかったのかな、なんて思うこともある。
あの罪悪感だけは一生消えない。
それをおもいしらされた。
やがてその本を買って店を出ると携帯がなった。
私が携帯を取り出して画面を見つめていると湊は
「出ないのか?」という。
画面には登録されていない電話番号が表示されていた。
私は「ちょっとゴメン。」と少し湊から離れたところへ行き、電話に出た。
「もしもし」
恐る恐る声を出す。
すると軽快な声で「あ、もしもし、七華ちゃん??」という。
この声には聞き覚えがある。
「もしかして、雛斗くん?」そう私が言うと、
「正解!あ、それ俺の電話番号だから登録しておいてねー。」と言う。
にしてもどこから私の電話番号を知ったんだろう。
少し不思議に思っていた。
「私の番号、どこで知ったの?」と少し怯えながら言う。
「あ、さっき七華ちゃんに話したいことがあってさー、家行ったら今は出かけてるって言われて電話番号教えるからかけてみてって言われたんだ。」と相変わらずの軽快さで雛斗くんは答えた。
そのあと少し声のトーンを落として
「話したいことがあるから会えないかな」といった。