第4章 突然表れた風来坊は同士
湊Side
こんこんと俺は雛斗にがみがみと説教をしていた。
「だいたいな、雛、お前は何で毎回毎回俺にだけ悪戯をしかけるんだ。他にしかけるやつ山ほどいるだろ。昔だってそうだっただろ、兄貴じゃなくて何で俺にだけしかけてたんだよ。」
その横で雛は安定の聞いているのか、聞いていないのかわからない様子で人の話をスルーしているように見える。
半分聞いていて、半分は聞いてないといったところだろう。
雛は毎回そうだ。
昔から雛は俺をなぜか不利な方向にもっていきたがる。
何か仕掛けられるのは絶対に俺だった。兄貴じゃなくて。
おかげで昔はこいつのせいで散々、七華にださいところを見られた。
俺が大きくため息をつくと、
「雛斗くん、悪戯は程ほどにね」
といって俺の弁当箱を利き手と反対の手で持った。
俺が不思議な顔で見ていると
「どうせお腹減ってるんでしょ。はい、食べて。」
そういって俺の箸ではなく、自分の箸で俺の弁当箱の中身を掴み俺の口の前まで運んだ。
びっくりして硬直してしまう。
「早く食べて。手だるいから。」
そういうと半ば強引に俺のすこし空いていた口の中に箸で掴んでいた卵焼きを入れた。
俺は口の中に入れられた卵焼きを飲み込むと
「.....ありがと」
とお礼を言う。
ただ一つ気になってしまう。
その箸は一体どうするつもりなのだろうか。
まさかその箸で自分も食べるつもりなのだろうか。
俺がこいつのことを好きなのはわかっているはずなのに、意識しないのか。
俺はすこし七華に疑問を覚えた。
その横で雛がすこし不満げに見ている気がもした。