第4章 突然表れた風来坊は同士
あのあと私たちは散々三人で話して、オタク話の花を咲かせていた。
やがて湊が寝てしまったので、雛斗くんは白野家の一角の自室に、私はそのまま自宅に戻った。
やがて翌日、私は湊と学校に向かっていた。
「まさかこんな近くに同志が二人もいたなんてな。」
そう、少しげんなりしながら湊はいう。
私は「せっかく同志がいたのになんでそんなに残念そうなのよ」ときくと
「別に嫌いとかじゃないけど、なんかな」と湊が俯いて言う。
「なんかってなによ。」
私は真面目な顔で言うと「雛のやつ、あの年で結構いろいろやってるだろ」と湊がいう。
正直なところ、私は雛斗くんが引っ越した後のことを全く持ってを知らない。
私は「いろいろ?」という。
すると「あ、知らないのか。あいつ、今読者モデルしてるんだよ。そんで調子にのって彼女を取っ替え引っ替えしてんだ」と湊がいう。
あの年で彼女を取っ替え引っ替え??読者モデル?へ?
一つ一つが印象的で頭が混乱する。
私があわあわしていると「人の悪口は良くないんじゃない?湊さん。」と後ろから聞こえてきた。
少し遠くからで私は振り返ろうとする。
「七華、避けろ!」
突然湊が叫んだ。
私は「え?」ということしかできず、間もなくして自分の背中にドーンと重いものがのしかかった。
「おはよ、七華ちゃん。」
そこには雛斗君がいて、背後から抱き着かれる形となっていた。
私は「それ、気がない女の子にやると誤解されるよ?」と冷静にあしらう。
「えー、いいじゃん。勿体振らないで、可愛いんだからさ?ね?」
そう笑顔で雛斗くんが言う中私は内心
[この家系は代々美形なのだろうな]
と考えていた。
それにお世辞にも私は美形とは言えない。
スペックその他諸々、全部一般的だ。
私は「早くしないと、学校遅れるよ?」という。
私たちも言えたことではないが、雛斗くんは編入初日だ。
遅れれば印象はかなり悪くなってしまう。
すると雛斗くんは「そうだった、そうだったー。そんじゃ、またね」といい消えた。