第3章 嫌われる恐怖
中学一年の文化祭の日、私の日々が大きく変わる出来事が起こった。
それはある、学校に纏わるジンクスから幕を開ける。
[文化祭の日の夕日が上る時、好きな人に告白すれば、幸せになれる。]
そんなジンクスが私たちの通っていた中学にはあった。
その日、案の定モテた逢人には人だかりができていた。
もちろんそのジンクスを彼女たちは信じていたのだろう。
あの当時、好きな人もろくにいないと思っていた私はどうせ、そんなのジンクスなんだから囃し立ててどうするの?なんて思ってた。
けれどそのジンクスを信じたのは女の子だけではなかった。
「好きだ。だから俺と付き合わない?」
逢人から向けられたその一言に私はただ黙って聞いていた。
そのあと私は「なんでいっぱいいるこの中から私を選ぶの?」という。
すると逢人は自信に満ちた笑顔で「七華見てると元気出るんだよ。それに七華は輝きに満ちてる。だからかな。」
という。
私は「私は恋愛感情では逢人は好きじゃない。けれど私には今好きな人もいない。」と無表情でいう。
すると「じゃあ、今からでも俺のこと男として見て。1番最初から好きな必要はない。少しずつ俺のこと好きになってよ」と逢人はいい、私はその話を承諾した。
けれど、今になれば思う。
私はあの当時から本当は湊が好きだった。
なのになんであの話を承諾したんだろう。
そのあと、私には一生消えない後悔が残った。
その2年後、逢人は事故に遭った。
あの時、私が自分の気持ちに気づいていれば、私は今どうしていたんだろう。
あの時、私が、湊が好きって言ってたら。
逢人が亡くなってからは毎晩のように泣いた。
彼がいなくなった悲しみ、
そして
彼に本当のことを言えなかった罪悪感。
そして彼に好きな人がいないと偽った二年間に。