第3章 嫌われる恐怖
湊Side
ここ数日、七華は態度がおかしい。
この前俺が抱きしめた一件の事じゃないかと思う。
あの時は申し訳ないことをしたし、寝言であんなに気持ちが煽られるとは思わなかった。
あの時、俺は何をやっても兄貴には勝てない。
そういわれたような気がした。
どうせ、勝てる分けない。そんなのわかってた。
だから、少し......ほんの少しでいいから
こっちを向いてほしかった。
兄貴はもう亡き人間だ。
そんな、もういない人間に生身の自分が負けた事が悔しかった。
自分が七華とハッピーエンドを迎えたい何て贅沢は言わない。
だから傷つけたせめてもの罪滅ぼしに、あいつは俺が守ってやりたい、そう思った。
そんなの、俺の自己満足だなんてことはわかってる。
俺は七華が向かいに来るのをいいことに、しばらく自室で呆然としていた。
やがて、時間が七華の来る時間だという事に気がついた。
俺は慌てて制服に着替えはじめる。
すると部屋の扉がコンコンとなった。
どうせ、母さんだろう。
いつもの母さんなら俺が今は入らないで欲しいなどといわない限り、入ってくることをわかっていた俺はいつも通り何も言わなかった。
すると扉が開く。
そこには俺が予想していない光景が待ち受けていた。
そこには母さん
そして七華の姿があった。
すると母さんが「湊、まだ着替えてなかったの?早くシャツ着なさい」という。
そして言われて思い出した。
俺は上半身は何も着ていない事に。
別に男の上半身裸なんて別に見られて困るもんじゃない。
けれど七華は目を手で隠した。
すると母さんは「早く着替えなさい。遅刻するわよ。」そういって一階に下りていく。
七華は「早く、制服着て。遅れるよ」そう目を隠しながら言う。
俺は「わりぃ。」そういって制服のシャツを軽く羽織り、ボタンを閉めネクタイを閉めた。