第2章 過去とコンプレックス
なんで、あんなこと言っちゃったんだろう。
そう思った。
言われたときは何でこんなこというのかわからなかったし、今も正直わからない。
だけどあんなひどいことを言うこともなかった。
『あんたがそこまで感情のない人間だなんて思わなかった。』
私が言ってしまったあの言葉が頭の中でぐるぐると駆け回る。
感情がないのはむしろ私の方かもしれない。
「逢人、あなたならどうした」そう思わず声に出して言ってしまう。
湊に対して、自分に対して。
いろんな事に対してショックだった。
もう、私はkanaさんとしての湊や、湊自身との関わりは切れてしまうのだろうか。
そのことに対してもショックだった。
湊が何をしたかったのかはわからない。
もしかしたら不器用だからあいつなりに慰めたのかなとか都合のいいようにも取ってしまう。
湊がkanaさんだったと知ったとき、本当に嬉しかった。
湊が同志だったことがすごく嬉しかった。
しかもそのことを知ったのもつい、昨日の話だ。
そんな今まで一緒に、たくさんの思い出を作って、一緒に泣いて、一緒に笑ったあいつともうそれができないのなら悲しい。
形は違うが、二回もそんな大事な人間をなくしなくない。
でも行動に移せず、何をしたらいいかわからない私は逢人のお墓の前でしゃがみ込み、泣いた。
すると肩をぽんぽんと叩かれた気がした。
私は気のせいだと思いそのままひたすら泣いていると聞き覚えのある声で
「確かに俺が悪いけど無視することはないだろ」
と聞こえた。