第2章 過去とコンプレックス
湊Side
終わった。
それしか頭に残らなかった。
せっかくできたオタク友達も、
自分のダメなところもいいところも受け止めてくれる友達も、
何でも受け入れてくれる幼なじみも、
全部。
七華のあの寝言の一言で俺は余裕がなくなった。
だから、俺はとっさにあんな行動を取ってしまった。
思い返しただけで情けない。
兄貴ならこんなこと絶対にしない。
俺は呆然としながら七華の部屋にいた。
すると七華の母が部屋に入ってきた。
「湊くん、悪いんだけど七華の事頼めないかしら?」そう七華の母はいう。
俺は「おばさん.....俺なんかが行っても意味ないですよ」そういう。
実際その通りだ。
駆け出した原因は俺なのだから。
正直な話、あいつがどこにいるのかは目星がついてる。
兄貴が亡くなった場所か、兄貴の墓か、どちらかしかない。
あいつは悩むと絶対にそのどちらかにしかいない。
けれど俺が行っても意味はない。
そう思っていると「情けない話なんだけどね、私より湊くんの方が七華のことわかると思うのよ。あんな子だけど見捨てないであげて。」とおばさんは俺にいってさっていった。
見捨てられたのはむしろこちらの方だ。
俺なんかは見捨てられて当然なのだから。
俺はおばさんが去ったあと苦し紛れに「わかりました。」そういった。
そうして一階におり、おばさんと出勤前のおじさんに挨拶をして俺は七華の家を出た。
そうして駅に止まっているバスへと乗り込む。
やがて兄貴の墓から一番近いバス停で下りたが俺は動くことができなかった。
墓の方へと迎えない俺はそこの近くにあるコンビニのような店で飲み物を三本買った。
一つは俺の好きなオレンジジュース。
もう一つは七華の好きなコーラ。
もう一つは兄貴の好きだったサイダー。
それらをもって俺は兄貴の墓へと向かった。