第2章 過去とコンプレックス
湊Side
気がつけば朝だった。
俺は七華の部屋の机でふて寝してしまっていた。
七華本人は無防備にも、その近くにあるベッドですやすやと眠っている。
俺はなんとなく、七華の寝ているベッドに近づき、七華の頭を撫でた。
七華は「....んー.....逢....人...す...き....だよ....」そういった。
寝言だってのはわかってた。
けど俺は思った。
なんで近くにあいつにそっくりな俺がいるのになんで七華はそんなに兄貴を好むのか。
兄貴はもういない。
なのになぜそこまで兄貴にこだわっているのか。
俺にはわからない。
俺が机に向き直ると、しばらくして七華が目を覚ました。
「ふぁー、おはよ。」
そういう。
俺は「おはよ。急がないとやばいんじゃないのか?時間。」そういってサイドテーブルにあった時計を指す。
すると「あ、やば。もう8時なの、遅刻じゃん!ってか湊も早く用意しないと遅刻するよ!?」
そう慌てて言う。
「もう急いでも急がなくても遅刻だ。」
落ち着いてそういう。
「そ、それは....そうだけど」
すこし焦りながら七華は言う。
俺は「ま、昼からでも問題ないんじゃないか?」というと
七華は「優等生がそんなことしてていいんですかー」と棒読みで言う。
俺も別に優等生したくてしてるわけじゃない。
そう思っていたが俺は無言で七華を抱きしめた。