第2章 過去とコンプレックス
湊Side
兄貴はいつでも俺に欲しかったものを譲ってくれた。
双子だとやはり普通であればものを取り合いになるのが普通だろう。
けれど兄貴は違った。
アイスを食べるときも、チョコが一つしかないと知ったとき兄貴は自分が手にとっていたのに俺が食べたかったのに気づいてアイスを俺に手渡した。
俺がヒーローアニメのガチャガチャをしたときだって兄貴は自分の好きなレッドを出して俺が悪者の怪獣を出してしまった時「僕のと交換しようよ」そういって俺にレッドを手渡した。
いつだってそうだった。
俺が自分の欲しいものを手に入れられなかったとき、いつも兄貴は俺の欲しかったものを持ってた。
けどその欲しかったものを全部与えてくれたのは兄貴だった。
けれどただ一つ俺に譲ってくれなかったものがあった。
それが七華だった。
あれは中学一年の頃だろうか兄貴の部屋で対戦ゲームを二人でしてると兄貴は俺に「湊、七華のこと好きだよな?」そういう。
俺は動揺しながらも「ど、どうだろうな」
そういったが兄貴には通用しなくて「図星か。ま、こればかりは俺も譲る気ねぇから。」といった。
俺はまさかとは思ったがその半年後兄貴は宣言通り七華を自分のものにした。
兄貴が亡くなったとき俺は兄貴と見た目がにててもこのままじゃ兄貴の変わりにはなれない。
そう思った。
それから俺は兄貴の自信家な性格を少し真似するようになった。
すこしでも七華や、母を元気づけたかった。
今では二人もと立ち直ってくれている。
けど俺には新な心が生まれた。
俺が兄貴に似れば七華に好きになってもらえるんじゃないかと。