第2章 過去とコンプレックス
私はその日から一ヶ月半ほど毎晩のように泣きじゃくり、湊と逢人の母は引きこもるようになってしまった。
湊は「俺より逢人の方が優れた人間なのに何で死んだのが俺じゃないんだ」と自分を攻めつづけた。
でも湊は自分の弱みを一切見せづ、私や湊と逢人の母を慰めつづけた。
今でも湊には感謝している。
今では湊の母も働きに出られるようになり、私も仏壇を前にこんなことがあったんだよなどと近況報告ができるまでに成長した。
それを考えると湊も勇者だったのかもしれないなと思う。
もともと逢人は愛想が良く自信家、湊は真逆に少し無愛想で、自信家な兄のようなところもあったが根は謙遜するような子だった。
けれど逢人がいなくなってからは湊もすこし逢人に似てきた気がする。
私の気のせいなのか、それとも兄弟だから後々似てきたのかそれはわからない。
湊は今だに私に逢人の話をする時「死ぬのが俺ならよかったのに。」と言う。
誰もそんなこと思っていないのに。
逢人も湊にそんなこと思ってほしくないと思う。
けれどそれだけ湊にとっても大きな存在だったのかなと思った。
きっと逢人は天国で私たちのことを見守ってくれている。