第2章 過去とコンプレックス
これは今から三年前の話。
私たちはいつも三人で遊んでいた。
不思議なことに中学生になってもずっと遊んでいたのだ。
私と、湊と、湊の双子の兄の逢人と。
昔から逢人は正義感が強く、いつでも私と湊を守ってくれていた。
次第に私と逢人は付き合うようになった。。
もちろん、幼なじみなので親、公認だ。
私も、湊も、逢人が大好きだった。
けれど悲劇は起こった。
あれはただただ普通の日だった。
いつもなら私達三人は一緒に中学校から帰宅していたのだが委員会で逢人だけが遅れて帰ってきていた。
その帰り道、通学路の踏切で小学校低学年位の女の子が線路でこけて鞄から荷物などをばらまいてしまい、女の子はそれを拾っていた。
逢人は女の子にかけより一緒にその鞄へ荷物を戻していた。
ところが踏切はカンカンカンカンと音をたて黄色い棒が下りて来てしまう。慌てて逢人は女の子と一緒に線路から出ようとした。
だが、女の子の足が靴ごと線路に挟まってしまい、抜けなくなってしまった。
逢人は助けてあげるため線路に残っていた。
女の子のはまっていた足は案外すんなり抜けてくれたのだが、その時にはもう遅く電車が逃げられない距離まで来てしまっていた。
逢人は慌ててその女の子を線路の外へと突き飛ばし、逢人は電車に引かれその日中亡くなってしまった。
彼は英雄のような人で私にとって勇者だった。
だからこそ周りにいた人間は彼がいなくなってしまったことに傷ついた。