第10章 崩れる不幸
「あ、まぁそんなところですかね。」
私はあの質問に対して答をはぐらかした。
知らないなら知らない方がいいのではと思ったのだ。
それを見て神藤先輩は
「とりあいず、どこかゆっくり話せる店でも移ろうか。何かここがいいとかリクエストはある?」
と聞く。
「話せるところならどこでも構いません。」
私はそう答えた。
「よっぽど、話がしたいみたいだね。それじゃあ行こうか。」
神藤先輩は歩き出した。
そして私はそれにひたすらついていく。
しばらく歩いているとそこはオシャレなカフェなどがたくさんあるようなところにきた。
正直、こんなところきたことがない。
私がそわそわしていると「あれ?もしかしてこうゆうところ好きじゃない?場所、変える?」と神藤先輩に気を使われてしまう。
「慣れてないだけです。あんまりこんなところ来ないので。」
私が素っ気なく答え、また歩いているといつのまにかお店に着いていた。
そのお店は白を基調とした綺麗なお店で外には甘い香が立ち込めていた。
「甘いものは好き?」
神藤先輩はそう聞いてきたので
「はい、好きです。」
そういうと、
「じゃあここにしようか。」
といってお店のドアを開けた。
私が後ろ立っているとドアを支えてくれて
「レディーファースト。ね?」
といって先にお店に入れてくれた。
私たちは二人用の席に通された。
「とりあいず、何か頼もうか。俺的オススメはチーズスフレとベリーパンケーキだよ」
そういって嬉しそうにメニューを開いて私に渡した。
「甘いもの、お好きなんですか?」
そう私が聞くと
「男、だけどね。好きな人っていうか好きだった人っていうか。まぁそんな人に連れて来られたのがきっかけでね。甘いものってつらいの忘れられるからさ。」
と神藤先輩は言う。
[好きな人、いるんだ。]
私はそう心の中で思ったとき、私に由利さんと彼のしこりが溶かせるかどうかが不安になった。