第10章 崩れる不幸
湊Side
「突然電話かけてきたと思ったらそんなことなの?あと、男なんだからもう少し決断力持ちなよ」
「だってな、もし他の男に取られたらって思うとな?」
雛斗なら恋愛経験豊富だ。
そう思い俺はあいつに電話をかけたがそっけない態度を取られる。
あいつとはパリに行ってからのほうが仲良くしている気がする。
こまめに連絡を取ったり。
なので当てになると思ったが
「そもそも湊は恋愛に奥手過ぎるんだよ。恋はハイリスクハイリターン、だよ?」
こんな調子だ。
「お前に相談した俺が馬鹿、だったかもな。」
そう俺はつぶやく。
確かに奥手なのかもしれない。
七華のことになると。
けれど俺はあいつを傷つけたくない。それだけだった。
「けど、俺は七華ちゃんが他の男と浮気するとは思えないな。」
落ち込んでいる俺に雛はそういった。
「七華ちゃんといい、湊といい、お互いのこと愛し過ぎなんだよ。そうゆうの、バカップルっていうの知ってる?」
雛は厭味にそういう。
確かにそうかもしれないな、そう思ってしまう。
今の関係はお互いを想い続けたからこそ成り立った関係だ。
言われてみればそうなのかも知れない。
俺が疑い過ぎなのかもしれない。
そう考えた俺は
「確かにそうかもしれない。七華のこと疑い過ぎだよな。信じてみるよ。」
と雛に伝える。
それを聞いて雛は
「ん。よろしい、がんばんなよ」
といって電話を切った。