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ある晴れた日に。

第3章 3







先にかえでの前に出されたのは土方のたい焼きだった。

人に優しくする。など小学生でも当たり前に出来ることが
上手く出来ない。それが土方十四郎だ。
それ故にツンデレ、鬼、悪魔など影で囁かれている訳だが。

その土方が。

"別にお前の為じゃなくて甘ったるいもんは嫌いだから"など
定番のツンデレワードすら吐かず、ただ優しくたい焼きを手渡し
返される感謝に普通におうだなんて返事をし、あまつさえかえでが初めてのたい焼きを頬張る姿を生優しい(?)顔で見つめている!


(な、なにがあったんだ一体!!)

(こいつ小動物みてえ)


「なんと!あんこ!あんこです!つぶあんがはいっています!
でも鯛はどこに!」

「たい焼きっつーのは形が鯛なだけだ。」

「なるほど…。鯛を模したお菓子なのですね!美味しいです!
すいません。マヨネーズさんのお茶菓子がなくなってしまいましたね。
よろしければ大福をお食べください。」

「いい。お前が食べろ。
いらねーなら、城に持って帰って食べろ。
いま入れもん持ってきてやる。」

「いえいえ!お気遣いなく!食べれますから!」



席を立とうとする土方を慌てて引き止めるかえで。
嫌がる様子もなく席に座り直しまたかえでの嬉しそうな顔を眺める土方。



「な、なにがあったんだ本当…。」

「あん?なんか言ったか近藤さん。」

「い、いやなんでもない。」



とにかくいまはそっとしておこう。
あれだけ反対してたトシがかえでちゃんに優しくしてんだ。
無理に聞き出して関係を悪くする必要はない。

そう結論づけその温かな様子を見守っていると、がやがやとした気配が部屋の前に集まった。



「おや?誰かいらっしゃるようです。」

「チッ……どうせ山崎辺りだろ。」



うんざりするぐらいわかっていた。
屯所の隊士達(特に山崎)は、女が来るとすぐに浮き足立つ。

特に顔のいい女となるとこぞって客間を覗きに来るのが常だ。

絶対こそこそと隙間から見てやがる。


むかっ腹がたった土方は障子をすぱんっと勢いよく開けた。




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