第3章 入部試合
大地sideーーー
1セット目が終わり、試合をしていた6人にマネージャー2人がドリンクとタオルを渡していく。
『澤村先輩、お疲れ様です』
「おう、ありがとう」
俺のところに神山が来た。
そういえばさっき、頬摘んだけど大丈夫だったかな…今更ながらそのことを謝ろうとしたら、もう既に彼女の視線は月島に向いていた。
『あ、そうだ!蛍!』
「……」
けい?
それが名前だということに気づくまで少し時間がかかる。
呼ばれた月島は神山に耳を寄せる。
こちらから見ると、まるでそれがキスをしているかのようだった。
…あいつらはいつから名前で呼ぶようになったんだ?!
俺でさえまだ“澤村先輩”なのに。
田中や西谷は2年だからわかる。
1年に先に越されたのか…と思うと少し腹立たしく思った。
…が、名前で呼んでくれなんて今更ながら言えるわけもなく、我慢するしかない。
そういう関係になったときの楽しみに取っておくか…
話が終わったのか月島が歩き出す。
「あー、月島」
蛍「はい?」
「頭、気をつけとけよ」
蛍「え?…あ、はい」
一発くらいなら当たっても大丈夫だな。
そう思いながらコートに向かった。