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短篇集

第7章 『嘘つきとの日常』王馬小吉




「ねえねえ名前ちゃん!

オレの分もお弁当用意してきてねって
昨日約束したの覚えてるよね?」


そう笑顔で話しかけてくる男は
さも悪意の欠片もないような顔で
平然と嘘を吐く


『…王馬……私がいつ、そんな約束した?』


呆れたように溜息を吐き返答する


「えー?したじゃん!また覚えてないの?これだから鳥頭は困るんだよねー!
仕方ないから購買の菓子パンで我慢してあげるよ!」


なんで上からなんだ…
そう思い、再度
深い溜息を吐く


偉そうな物言い
尊大すぎる態度

女子の私と大差ない身長で
髪を跳ねさせ笑う姿は
年相応に感じさせるが

目の前の男、王馬小吉は

そんな可愛い存在ではない


彼の才能は「超高校級の総統」

秘密結社DICEのリーダーだ


彼は息をする様に嘘を吐き
人をあざ笑う


そんな悪の総統を


私はずっと
突き放せないでいる



小さな体からは少し想像し難い大きな手で
私の手を優しく包み込んで

クンと引っ張りながら自分勝手に歩を進める

「あーあ、約束を破るとかじゃなくって忘れてるって…
ショックだなーもう!
これはファンタンもつけてくれないと気が収まんないよ!」


『…炭酸ジュースが飲みたいなら
普通にそう言え』


ぼそりと文句を零すが
そんなもの、彼には相手にもされず

私は引かれるままに
ただついて行くしかなかった

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