第4章 死柄木と一般人②
「名前、こっち来い」
そう呼び掛ければ一瞬嫌そうな顔をして
渋々此方に向かって来る
『…何ですか…?』
「ほら、座れ」
自身の膝を指差して言うと
名前はまたか、と露骨に顔に出す
「早くしろ殺すぞ」
『っ…』
ああ
真っ青な顔をする
その顔
その顔が好きなんだよなあ
純粋で
無垢で
真っ白なこいつを
少しずつ薄汚く染め上げて…
そんな醜い欲望も
腹ん中にぐちゃぐちゃと
渦巻いてるが
その反面
綺麗なままのこいつを
ずっと腕の中に閉じ込めていたいと願う
らしくない想いまで湧いてくる
こいつは怖がって気付いてはくれないけどさ
大事にしてるから
離したくないんだよな
だからここに縛り付ける為に
脅しまがいのことも厭わない
膝上の暖かで柔らかいそれを撫でながら
鼻孔をかすめる陽の香りに
意識を委ねる
なあ、名前
「頼むからどうか
震えないでくれよ」
身勝手な想いばかりが
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