第13章 誰よりも強い、織田信長様
信長『なんだ、朝日。』
碁を打つ手を止めて、問いかける。
『信長様っ!聞いてくださいませ!
秀吉さんが…!』
事の経緯を聞いてやると
朝餉の後、秀吉が城下へ朝日を連れ出し
勝手に追いかけっこを始め、散々怒られたとのことだ。
信長『下らんな。』
『なっ、そんなっ!』
そんな風に言わなくても。と言いたそうに
口を噤んだ朝日。
信長『そんな小言なんぞ、聞き流せば良い。』
だが、貴様を思って言ったこと
重々わかってるだろう。と俺は問いかける。
『わ、かってます、けど…。』
信長『貴様は政宗と同じで癖が強すぎる。
己の心情にて進むのは悪いことではない。俺とてそうだ。』
『そりゃあ、信長様は天下布武を果たす御方だと信じています。
民を想い、家臣を想い、世の為にどんな犠牲も払わないのも…。』
信長『猿の味方をするわけではないが、
貴様はもっと自分を見つめ直せ。』
『………はい。』
信長『そして、彼処を見ろ。』
先程、勢いよく開けた襖に目をやる信長。
視線の先を朝日がみてみると足音が聞こえて…
秀吉『信長様ぁぁぁぁ!!!
今の音は何事でこざいますかーーー!!!!』
ドタドタと慌ただしく走ってきてる
秀吉さんの足音
思いっきり血の気が引いてきた朝日。
『あ、どうしよう…!』
信長『仕方がない、ここで騒ぎを起こされては
面倒だ。』
信長は朝日を隠すように
屏風の後ろにいるように命じた。
『御意っ!!』
急いで屏風の後ろへと隠れる朝日。
秀吉『信長様っ!何奴でございますかっ!?』
ようやく辿り着いた秀吉であった。