【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第12章 DAY6【レイ・ブラックウェル】
「レイとフェンリルって、有名なんだね」
レイアとレイは午前中の特別授業を終え
セントラルの中心街を歩いていた。
「ん、何か知らねえけど…そうみたいだな」
「それにしても……ふふ…」
思い出し笑いをするレイアに、レイがい訝しんで覗き込む。
「え、何?」
「……レイって、どこに行っても変わらないね」
「何だよそれ」
学生たちに教える姿は
いつも黒の軍の訓練場で兵士たちに指導しているそれと全く同じだった。
口調も、横顔も、真剣なまなざしも
いつもと変わらない。
「……このまま平和が続けば、戦うことなんてなくなるのかもしれねえ。でもさ…」
レイはあたりを見回す。
いつも通りのセントラル。
老若男女、さまざまな人々が行き交い、笑ったり走ったり歩いたりしている。
「こんな当たり前を守るために、俺たちは戦い方を忘れちゃいけないと思ってる」
(そうだった)
レイは、そういう人だった。
「全員が全員じゃなくてもいいけど、誰か…同じ思いの奴がいてくれたらいいな、と思ってる」
先ほどの学生たちの顔が思い浮かべられる。
憧れの人を見つめる、真摯なまなざし。
誰かを憎むためじゃなく、誰かを守るため。
「きっと、レイと同じ気持ちの子、いっぱいいると思うよ」
レイアが微笑むと、レイもそれに応えて少し笑った。
「だと、いいけどな……さて」
レイは先を指差してレイアの手を取る。
「いつものあの場所……寄ってっていい?」
「…いいよ、私も久しぶりに行きたい」
触れた手のぬくもりが少しだけ気恥ずかしい。
そんな思いを抱きながら、レイアは並んで「猫だまり」の方へと足を向けた。
薄暗い路地裏。
いつもの場所にやって来ると、レイの足音だけでもうみんな出てくる。
「よし……お前ら全員いるな」
一匹ずつ抱き上げて、レイが確認していく。
久しぶりにやってきたレイアに最初は警戒していた猫たちだったが、レイと仲良くしている様子を見ると安心したのか、徐々になついてきた。
「みゃあ」
(う……かわいい)
「おいで…いい子だね」
レイアが猫たちの喉をくすぐっていると、レイがすっと立ち上がった。
見上げると、その表情が険しくなっている。
「どうしたの、レイ」