【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第12章 DAY6【レイ・ブラックウェル】
「だから!絶対そんなこと言ってないって!」
黒の兵舎に入るやいなや、レイアのあらぶった声が響く。
「はいはい、じゃあ言ってないってことにしてやるから」
「何その言い方ー!」
「おいおい、朝っぱらから喧嘩か?」
レイアたちを出迎えたのはシリウスだった。
「あ、シリウスさん!おはようございます…!」
「久しぶりだな、お嬢ちゃん」
シリウスの大きな手がレイアの頭をぽん、と撫でる。
「朝メシ、まだだろ。今できたとこだから早く来い。もちろん、お嬢ちゃんの分もたくさんあるからな」
「え?ほんと?やった!」
「やっぱり食いしん……」
後ろにいたレイをキッと振り返ると、不敵な笑みがそこにある。
そこへ。
前方から黄色い声が飛んできた。
「やーーーーーーーーん!!!!」
「あー来た来た……一際やかましいのが…」
レイアめがけて飛び込んでくるセスに、シリウスとレイはやれやれといった表情だ。
「久しぶりぃー!アリスちゃあん!アタシ、ずっと待ってたのよぉ?さ、朝ごはん準備OKよ?行きましょ!」
「あ、うん…!」
セスに強引に腕を引っ張られレイアは食堂へと連れられた。
久しぶりの面々で朝食を食べながら、レイアはレイに尋ねた。
「ところで今日って何するの?」
「ん?……あぁ、悪いけどちょっと午前中仕事あって。付き合ってくんねぇ?」
「うん、もちろん。何の仕事?」
すると、レイが僅かに口角を上げる。
「ま、来れば分かる」
********
レイと共に馬車でセントラルに向かう。
行き着いた先は見慣れない場所だった。
「ねぇレイ、ここどこ?」
「あ?お前、来るの初めてか」
黒の兵舎を少し小さくしたような…それでも立派な歴史を感じる建物がそこにあった。
「……ここ、俺の母校」
「えっ?!」
レイの母校といえば、セントラルにある寄宿学校で
レイだけでなく軍幹部は皆ここの出身だ。
(レイとフェンリル、ここで出会って……)
学生時代の皆のことは想像の領域を出ないが
きっとさぞかし賑やかだったのだろう。
「で、今日ここで何のお仕事なの?」
レイアの問いに、レイは腰に下げた剣を指差して答える。
「……これ。剣術の特別講師の仕事」