【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第12章 DAY6【レイ・ブラックウェル】
深い深い森の奥。
人が足を踏み入れることのない廃墟となった古城。
夜陰に紛れて、黒いローブの人影が中へと入っていく。
古城の奥深く
ぼんやりと明かりが灯る部屋に人影が足を踏み入れた。
「………アモン様」
そう呼ばれ、中にいた人影が微かに動く。
「何だ」
青白い光に照らされた横顔に、冷たいプラチナパープルの長い髪がさらりと落ちる。
「アリスは着々と儀式を進めています」
「……」
アモンは視線を向けることもなくその言葉を受けている。
「……よろしいのですか?」
「ああ、構わん」
アモンの口角が僅かに上がる。
「最後には我々が勝利する」
そう呟くと、アモンは初めて視線を合わせた。
「……そうだな、近々…少し遊んでやるか。女に溺れた愚か者共、暇つぶし程度にはなるだろう」
不気味な色を宿した瞳が、薄闇の中で鈍く光った。
am 6:00
馬車が来た音が外から聞こえる。
程なくして、ノックと共に黒いマントを翻した一人の人物がやって来た。
「…………ん、まだ寝てんの?」
レイは中に入ると、拍子抜けしたように呟いた。
ベッドの中では、まだすやすや眠っているあどけない顔のレイアがいる。
「すまない、何度か起こしたんだがな……」
ダイニングの椅子に掛けていたゼロが、苦笑混じりに答えた。
「……やるじゃん、赤のエース」
「……!そんなに無理はさせてない」
ゼロは少し頬を染め視線をそらした。
レイは笑みを一つこぼして『眠り姫』を見やった。
「なんか…起きそうもねえな……」
そうつぶやくと、レイはそっとレイアを抱き上げた。
「……んん」
「ん?起きるか?」
するとレイアは腕の中で
「……もう食べられないよぉ……」
と、盛大な寝言をつぶやいた。
「……っ」
これにはレイとゼロも思わず顔を見合わせて笑ってしまう。
「……どこまで食いしん坊なんだよ、お前は」
そうは言いつつもまんざらでもない顔を浮かべながら
レイは表の馬車へレイアを運んでいった。