【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第11章 5th night【ゼロ】R-18
Zero side--------
きっともうレイアは覚えてはいないだろう。
初めてまともに会話をした時のことを。
急用で迎えにいけなくなったヨナの代わりに
月小屋で待つレイアを迎えに行った朝。
無防備すぎる姿で出迎えたレイアに
顔が紅潮していくのが止められなかったのを覚えている。
月小屋の夜の順番が回ってきた時
彼女を傷つけないようにすることで精一杯だった。
不運にもこの世界に落ちてきた彼女を
どうにか傷つけずに元の場所へ返すこと。
ただそれだけを考えていた。
月日がたち
レイアは「ヨナの最愛の人」として戻ってきた。
月小屋の宴の悪夢など、まるで無かったかのように
彼女は毎日
赤の兵舎で眩しい笑顔を見せてくれていた。
……無意味なことだと分かりつつも
彼女のことを目で追うことを止められない自分がいた。
時折、一人寂しそうにしているレイアを見つけると
いてもたってもいられなくなった。
自分のものにならなくてもいい
それでもいいから彼女の役に立ちたい。
その気持ちは
今も変わらなかった。
ヨナと結ばれることに、不思議と苦痛はなかった。
それでも
できる限り、彼女を守る「力」になりたい
その気持ちはずっと変わらなかった。
……今夜だけ
レイアと二人だけ。
それを彼女が望んでいないのは分かっている。
それでも
彼女の指に触れると
止まらない感情が加速しそうになる。
レイアは、口付けた手をそのままゼロの手に絡めた。
「……っ?」
「ゼロの手は…あったかいね……」
そう言ってはにかんでみせる顔を見ると、鼓動が一気に高まる。
(その顔は…反則だ……)
思わず視線をそらしてしまう。
「ゼロ」
名を呼ばれ、視線を戻す。
心なしか、レイアの顔が赤く染まっている。
「……もっと、触れてもいい…かな……」
「……!」
予想外の言葉にゼロは固まってしまう。
レイアはすっと立ち上がると
座ったまま固まるゼロの前に立ち、ゼロの頭を抱き寄せた。
「……レイア…?」
甘いような、レイアの香りに包まれる。