【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第1章 返還の祭典、開幕す。
………同日、黒の兵舎。
ブランから届いた書状を取り囲むように、黒の幹部たちは頭をつき合わせていた。
「ねぇ…これって、本当なの?」
セスは眉根を寄せて呟く。
「ん、そうらしいな…」
レイは目を細めながら概要を読み込んでいた。
「ったく、ついこないだレイアの新しい門出を祝うパーティをして全員で祝福してスッキリしたっつーのに…これはねーよな」
フェンリルは頭の後ろで手を組みのけぞってこぼした。
「なぁ、シリウス……どう思う」
レイは隣で静かに腕を組むシリウスに助言を求めた。
「……ブランの言うことも一理ある。もしお嬢ちゃん…レイアが身ごもったら能力を失うのだとしたら、その前に全てを『白紙に戻す』というのは必要なプロセスだな。休戦状態とはいえ、全ては『均衡』の上の元に成り立ってることだ」
シリウスの冷静な意見に一同は再び押し黙る。
「なんかねぇ……またアリスちゃんを傷つけてしまうような気がして心が重たいのよねぇ…アタシが言えた台詞じゃないんだけど」
セスはため息混じりに呟いた。そこにいる全員が同じことを思っていた。
「……レイ」
すると、それまで沈黙していたルカが口を開いた。
「ん?」
「……アモンはまだ見つかってないんだよね」
「……っ。……ああ」
レイははっとなって再び書状に目を落とす。
「そうか……レイアの能力喪失と返還の祭典のことをかぎつけたとしたら」
「……出てくる可能性、ゼロじゃないわね」
セスは固い表情で答えた。
「一応、警戒しといた方がいいと思う…」
ルカの言葉に一同がうなづいた。
「シリウス、一応赤の軍に伝達頼む」
「OK、ボス」
「事実上、レイアとの最後の『接触』になる。
情が沸いちまうのは致し方ないが…全ては『返還』が目的だ。己の欲に負けてレイアを傷つけるようなことは絶対するなよ」
「Aye, aye, sir!」
レイの言葉に幹部全員が声を合わせて答えた。