【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第1章 返還の祭典、開幕す。
………3日後。
『返還の祭典』開催の通達と概要説明の書状が、赤・黒両軍の兵舎に届いた。
「ちょっと待って下さい…!!こんなの納得いきません!!」
赤軍執務室。
ヨナは予想通りの反応を示した。
無理もない。
つい先日、やっと婚約をした最愛の人が
また両軍幹部に「たらい回し」にされる日々が来るのだから。
「……お前の気持ちは痛いほど分かる」
ランスロットは書状に目を落としたまま呟き答える。
「でしたら即時中止を…!」
「しかし、これは行わねば均衡が崩れる」
ランスロットの声はゆるぎないものだった。
「ランスロット様……」
「ヨナさん…これは、より確実にレイアと仲良くなるために必要なものです」
エドガーは感情の読めない笑顔で告げた。
「どういう意味?」
「だってこの概要見てください……儀式終了後に結婚相手以外がアリスと交わった場合、反逆罪で死刑って書いてありますよ」
「えっ?」
そこにいる全員が、エドガーが指す一文を食い入るように見つめる。
「……つまり、儀式が終わればヨナは確実にレイアを独り占めできるってことか」
ゼロが頷きながら言った。
「残念だなぁ、俺、本物の処刑を一度ナマで見てみたかったんですけどね」
「おい、エドガー。洒落になってないぞ」
「そうですか?それはすみません」
エドガーとゼロがいつもの師弟漫才をしていると、ランスロットは書状を机に置いて息を吐いた。
「ヨナには悪いがブランのこの書状には従わざるを得ない。よってこの指示通り、来週より返還の祭典に参加する。先行は赤の軍だ。階級順に前回とは逆で行うので、俺から行く。よいな?アリス……」
「えっ………」
そこで一同は初めて、入り口のそばでこっそり覗いていたレイアの存在に気づいた。
「あ……ご、ごめんなさい…その、聞いてて……」
「構わん、お前に関係のある話だ。入れ」
ランスロットはレイアを招き入れる。
「今話した通りだ、よいな」
「…はい」
「顔を上げろ、アリス」
俯きながら返事をするレイアにランスロットが告げる。
「あの時とは何もかもが違う。案ずるな」
珍しく微笑みを見せたランスロットに、レイアは微かに心がほぐれるのだった。