【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第10章 DAY5【ゼロ】
「ん………んん……」
しばらくすると、眩しさを感じてレイアは目を覚ました。
横たわっていた場所は、太陽の位置が変わって日差しが当たり始めている。
(あ、けっこう寝ちゃった?!)
慌てて身を起こそうとするが、左側に温かな重みを感じる。
(……あれ?)
その重みの方へ身体を向けると
すぐそばにゼロの寝顔があった。
「……っ!」
普段見たことの無いゼロの寝顔がそこにあり、驚きでレイアは息を呑んだ。
ゼロの顔は良く見ると整った顔立ちで、漆黒の睫毛はまっすぐで意外と長い。
エドガーやヨナとのやりとりを見ているととても紳士的で大人びた対応をしていることが多く見受けられたゼロだが、寝顔は無防備であどけなさが残っていた。
(なんか…ゼロって意外と……)
可愛い顔してるんだな……。
「……んん…」
ゼロが身じろぐ。
(あっ……起こしちゃったかな…)
思わずドキドキしながら見守るが、ゼロは起きない。
仰向けになったゼロの首筋から、タトゥが覗く。
(まじまじと見たことなかったけど…何の模様なのかな)
襟元からみえる何かの紋様のようなタトゥに、レイアはしばらく見とれてしまっていた。
(そういえばゼロって魔法の塔出身だって聞いたけど、それと何か関係があるのかな……)
血統を重んじる赤の軍にとってかなりの異端である、と自分でも言っていたけれど、その辺の事情は詳しく知らない。
学生時代にエドガーが剣術を教えた、ということは何度も聞いていたのだが。
(魔法に関係ある模様なのかな……)
レイアがじっとゼロの首元を見つめていると
「………どうした、レイア」
「うわぁっ!!!」
突然ゼロに声を掛けられ、レイアは心臓が止まりそうになった。
「ご、ご、ごめん…!!お、起こしちゃった?!」
あまりの慌てぶりに、ゼロはゆっくり身を起こしながら笑う。
「そんなに間近で見つめられたらさすがに目が覚める」
「ごめんね…!寝てたのに」
「いや、構わない。お前一人起きていてもつまらないだろう…」
ゼロは優しく笑みながらレイアの頭をぽん、と撫でて言った。
「昼飯にするか」