【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第10章 DAY5【ゼロ】
ゼロが馬車の中で提案してくれた今日のプランはこうだった。
「他の幹部たち…あちこち出かけてばかりで少し疲れているんじゃないかと思ったんだが…。今日は自然の中でのんびり過ごすのはどうだ?」
というわけで、入らずの森の近くにある川の辺りで今日はのんびり過ごそうということになった。
朝食後に厨房を尋ね事情を話すと、料理長が「簡単なものでよければ」とお弁当まで用意してくれた。
(確かに、セントラルや黒の領地の動物園、博物館…いろんなところに出かけたなぁ)
夜も完全に休めるわけではないため、知らないうちに疲労も蓄積していた。
そんな中でのゼロの提案はとてもありがたく温かいものだった。
「この辺でいいか」
川の辺り、適度に開けた場所にゼロは馬を止めて降りた。
レイアを降ろし、大きな木の影に馬をつなぐ。
水辺が近いせいか涼しい風が吹いており、とても心地が良い。
ゼロは、持参したラグを木陰に敷いてレイアを手招きした。
「今日は気を遣わずにのんびりくつろぐといい」
「ありがとう、ゼロ」
レイアがラグの上に座ると、ゼロもそばに座った。
時折、川からひんやりした風が吹き、せせらぎの音が心地よく響いた。
(はぁ……なんだか眠くなってきたなぁ)
と思った瞬間、
「眠いなら寝ていても構わないぞ」
とゼロが声を掛けてくれた。
「……私、眠そうかな…?」
気まずそうにゼロを横目で見ると、きょとんとした顔を返してくる。
「いや…そういうわけじゃないが……」
そしてくすっと柔らかな笑みを浮かべ
「俺に構わず、寝てもいいという意味だ」
と答えた。
ゼロの微笑みにレイアはつられて笑みを返す。
「ありがとう。確かに……早寝できないのに朝はきっかり6時からだから……ちょっと眠たかったんだ……」
気が緩んだせいかあくびが出る。
「ごめん、ゼロ……少しだけ……横になるね」
「ああ。気が済むまでくつろぐといい」
ゼロの、低く穏やかな声が更に眠気を誘う。
微かにレイアの額に温かなぬくもりを感じる。かと思うと涼やかな風に包まれ、レイアはゆっくりと意識を手放した。