【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第10章 DAY5【ゼロ】
AM6:00
「二日酔いじゃないお前を見るのは久しぶりだな」
血色のいい顔で出迎えるカイルに、ゼロが言った。
「ああ。たまには悪くねーな」
苦笑して答えるカイルの横で、レイアがくすくす笑っていた。
「レイア、朝食はどうする。兵舎でとるか?セントラル地区でも構わないが」
「ゼロがいいなら、兵舎でとりたいかな。いい?」
「もちろんだ。カイルも戻るだろう?」
「おー。午前は診察室待機だからなー」
ゼロは自然な流れでレイアをエスコートし、馬車に乗り込んだ。
「ところでレイア、昨日はカイルとどこへ行ったんだ?」
馬車が動き出し、ゼロが問う。
「博物館に連れてってもらったよ」
「……酒場じゃなかったんだな」
「さすがに昼過ぎから酒場には行かねーよ……夜行ったけどな」
カイルが口を尖らせて答える。
「レイア、行きたい場所はあるか?もしないなら俺から一つ提案があるんだが」
小首を傾げるレイアに、ゼロは穏やかな笑みを浮かべて話を続けた。
朝日の中
馬車は穏やかな速度で、赤の兵舎へと向かっていった。
兵舎の談話室兼食堂で、レイアたちは朝食を済ませた。
一旦私室に戻って簡単に支度を済ませ、エントランスに降りるとゼロが馬を連れて待っていてくれた。
「馬車より乗り心地が悪いかもしれないが、いいか?」
「うん!天気もいいし、気持ち良さそうだね」
ゼロにエスコートしてもらって馬に乗ると、滅多にない目線の高さに少しドキドキする。
「大丈夫か?」
続いてゼロが後ろに乗った。
密着した背中から自然と体温が伝わり、少し胸の鼓動が高まる。
「うん……大丈夫だよ」
「そんなに飛ばしはしないが、しっかり掴まれ」
ゼロはそう言って手綱を握った。
ゼロの馬が機嫌良さそうにいななき走り出した。
心地良い振動が体に伝わり、徐々に速度が上がって風を切っていく。
「…風が気持ちいい……!」
「そうか、それは良かった」
肩越しに穏やかなゼロの声が聞こえる。
レイアとゼロはそのまま赤の領地を抜け、郊外へと向かっていったのだった。