【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第1章 返還の祭典、開幕す。
扉がゆっくり開くとそこには、ブランがいた。
「待っていたよレイア……昨日の君は僕が出会った女性たちの中で一番美しい姿をしていたけれど、今日の君はまた一段と可愛らしくて、まるで咲き誇るブルーベルのようだよ」
「き、昨日はありがとうございます…ブランさん」
まくしたてるように降り注ぐブランのリップサービスに、レイアは思わず半歩下がってしまう。
「おい飢えているからってそんなに身を乗り出して欲情するなこのエロウサギ。アリスが怯えているだろう、場をわきまえろ」
後ろから鋭い毒舌が聞こえる。
「あ、オリヴァーく…じゃなくてオリヴァー…こんにちは」
「ふん、ぽんこつも多少は学習能力があるらしい」
くん付けしそうになったのを慌てて訂正すると、オリヴァーは嫌味を一つ吐き捨てて奥へと引っ込んで行った。
「ごめんよ、あれでも歓迎しているんだ」
「はい…もう慣れました」
クレイドルにやってきて1年。月小屋の時は一度も会うことがなかったオリヴァーは、ブランの同居人で、何故か夜だけ大人の姿になる。
詳しい事情は知らないのだが、どうやらそっちが本来の姿らしく、子ども扱いするといつもの毒舌が100倍になってしまうのだ。
「美味しそうなシトラスフルーツがあったので、今日はパイを作ってきました」
「ありがとう、レイア。僕が用意したお菓子と一緒に頂くとしよう」
テーブルの上には、所狭しと様々なお茶菓子が並んでいる。
レイアが着席すると、ブランが紅茶を丁寧にサーブしてくれた。
「ありがとうございます」
「好きなだけ食べていいんだよ」
「はい、遠慮なく!」
レイアは昨日の婚約式の話や、最近のヨナの様子など他愛もない話をしてブランとひとしきり談笑した。
シトラスパイも甘すぎずすっきりしており、紅茶によく合う仕上がりになっていた。
「さて…そろそろ本題に入ろうか」
会話がひと段落したところで、ブランは切り出した。
「あ、はい…そうですね。一体どんなお話が」
「実は……今回、君がヨナと結婚するにあたって、一つ行わなくてはならない『儀式』があるんだ」
『儀式』という言葉に、レイアは無意識に身体がビクリと反応してしまった。