【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第4章 DAY2【ヨナ・クレメンス】
「申し訳ございませんヨナ様……式の手配は最速でも2週間後となってしまいます」
セントラル地区のブライダルショップ。
店主は頭を下げながら必死にそう告げた。
「何とかならないの?9日後にはどうしても挙げたいんだ…」
「あいにく、どの予約も1年以上前から承っているものでして…各種手配も済んでおりまして変更がきかず」
「ヨナ、仕方ないよ。2週間後でお願いしよう?」
恐縮する店主に迫るヨナの肩を、レイアはぽん、と叩く。
「他の人たちだって、一生に一度の大事な日なんだから」
「そうだけど…!」
「式が終わるまではヨナのそばを離れないから…ね?」
あまりに急すぎるオーダーのせいで、ドレスショップもジュエリーショップもかなり慌てて対応してくれていた。
式が2週間後ならドレスや指輪の方も多少は余裕が生まれるかもしれない。
ヨナはしぶしぶうなづくと、2週間後に式を行う方向で手続きを進めていった。
「急だから最低限の人数しか招待しないつもりだ。呼べるとしたら、両親とルカと…赤の軍幹部くらいだろう」
「えっ、黒の軍のみんなは呼ばないの?」
「なんであんな野蛮な連中を呼ばなきゃいけないんだよ」
レイアに目もくれずヨナはリストに名前を書いていく。
「……誇り高き赤の軍のクイーンが結婚するのに、黒の軍を呼ばなくていいの?」
ヨナの握る羽ペンがぴたりと止まる。
「………それはどういう意味?」
「敵対していた時ならまだしも…今はお互い協力し合ってこの国を守る者同士でしょ?なのに呼ばなくていいの?それに……」
「それに?」
レイアの話術にヨナは完全に乗せられている。
「……赤のクイーンの結婚式をこっそりやるなんて、らしくないなぁと思って」
「………」
ヨナはしばらく黙り込むと、再び羽ペンを握りなおした。
「…確かに君の言うことも一理あるようだね」
「!じゃあ……」
レイアの顔がぱっと明るくなる。
「仕方ないから、あの野蛮な貧乏人たちに本物の結婚式がどういうものか教えてあげることにするよ」
(言い方は相変わらずだけど、良かった!)
レイアは羽ペンの先を見つめながら笑んだ。