【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第4章 DAY2【ヨナ・クレメンス】
兵舎にいったん戻った後、身支度を済ませて馬車に乗り、レイアとヨナはセントラルにやってきた。
「今日はどこへ行くの?」
揺られる馬車の中でレイアは尋ねる。
「決まってるじゃないか、結婚式の準備だよ」
「えっ……」
(あの話、本気だったんだ……)
返還の祭典が始まる前、ヨナが口にしていたことを思い出す。
「昨日実家に行って確認してきたんだけど、そんなに急ぐなら先に式だけ挙げてクレメンス家へのお披露目会を別に設けろってさ」
「えっ、それじゃあ……」
ヨナがこくりとうなづく。
「……実家の了承は取れた。後は準備だけ」
(よかった……お義父様とお義母様、了承してくださったんだ…)
急な話とはいえ、ヨナと結婚できることが嬉しくないわけがない。
(結婚したら兵舎は出て二人で暮らすのかな…でもヨナはクイーンだし、やっぱり兵舎で暮らすのかな……離れ離れの時間が長いのは寂しいな…)
「……っと、ちょっとレイア、聞いてる?!」
「え?あ、ごめん…なんだっけ」
ついその後のことに思いを馳せているとヨナが話しかけていたらしく眉根を寄せていた。
「だから…今日はウェディングドレスの打ち合わせと指輪を下見して、式の段取りの相談と招待客のリストアップと招待状の発送をするからね?」
「えっ…そんなに?……終わるかな」
「終わらせるんだよ!しばらくまた会えないんだから…」
そう言ってヨナはレイアの手をきゅっと握る。
(そっか…今日の夜が終わったら…)
最低8日は会えないことになる。
(……長いなぁ)
ふとヨナの顔を見上げると、ヨナはふんわり笑みながらぽん、と頭を撫でてくれた。
「そんな不安そうな顔しなくても大丈夫だよ。この儀式のことはもう俺も覚悟を決めた。
どんなに君が傷つけられても…仮に君が誰かにほだされそうになっても……必ずまた、君が俺しか見えないようにするから」
「ヨ、ヨナ……」
「……君が誰の腕の中にいても、俺を思ってくれていることを…君自身のことを、信じている」
(以前のヨナとは違うんだ)
全面的にヨナが自分を信じてくれていることを感じ、レイアは胸がいっぱいになる。
「うん、ありがとうヨナ」
笑顔でそう答えた頃、馬車がゆっくり停車した。