【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第4章 DAY2【ヨナ・クレメンス】
AM6:00
沈んだ意識が徐々に浮上していく。
外で馬の蹄の音が聞こえた。
(……ん)
カーテンの隙間から朝日が差し込み、外が明るいことを教えてくれる。
ベッドの隣には、ぬくもりはもうない。
(終わったんだ……ランスロット様の『返還』は)
何かに解放された安堵と、説明できない寂しさが、レイアの心を一気に埋めていく。
かちゃっ。
月小屋の玄関が開く。
(ヨナ…)
ヨナはまた怒っているだろうか。
『あの時』の記憶が、否応なしに蘇る。
静かな怒り。冷徹な眼差し。
押し込められた悲しみ。
もう二度と、ヨナのあんな顔を見たくない。
そう思っていたのに、また同じ目に合わせてしまっている事が
レイアの胸を締めつけた。
「ヨナ……?」
部屋に入ってくる気配がして、レイアはゆっくり身体を起こした。
つかつかつか……
ぼすんっ。
「え、ヨナ?」
ヨナはベッドに直行し勢いよく縁に座ると、そのまま思いっきりレイアを抱きしめた。
「ヨ……」
言葉を失うと同時に、ヨナの体温が伝わってくる。
頭に添えられた指先から伝わるぬくもりが心地よく、レイアは身をゆだねる。
「……レイア」
掠れた声でヨナが囁いた。
(あれ…ヨナ……)
声を聞いて、レイアは身体を離しヨナの顔を覗き込む。
「……ヨナ、寝てない?」
「……っ」
図星だったヨナは、顔を赤くして視線を逸らす。
「す、少しだけ夜更かししちゃっただけだよ!別に君のことが心配だったわけじゃなくて、単に仕事が立て込んでただけだからね!!」
いつも通りのヨナの反応に、レイアはほっとする。
「そっか……お疲れさま」
「なっ………!」
ぽすん、とヨナの胸に頭を預けたレイアは安堵のため息をついた。
レイアの髪をゆっくり撫でながら、ヨナが優しく呼ぶ。
「ねぇ、レイア」
「………ん?」
顔を上げると、思った以上にヨナの顔が近い。
たった1日離れていただけで、この白く透き通った肌が懐かしい。
「おはようのキスがまだなんだけど?」
「……そうでした」
額を重ねて笑い合うと、どちらともなく互いの唇が重なった。