第3章 想い 【*R18表記あり注意*】
「新しいのがきましたよ。」
そういいながら妖艶に微笑み、女が俺の持つ杯に酒を注ぐ。新しい徳利を俺の横に置くと、窓辺に移り外を眺めながら煙管を吹かす。俺は手酌で呑みながら、そんな女を見る。
奥の間には、乱れたままの褥が1つ。
ここは、花街のとある見世。
安土を離れて20日ほどが経っていた。任務を終えた俺は、なんとなく城にも御殿にも帰らず、昨日からここに居続けている。花街には、仕事で来ることもあれば、ただ、溜まった欲を吐き出すために来ることもある。今回は後者になるのだが、吐き出した後も何となく居続けている。
普段は馴染みの女など、作らずにいるのだが、ここ何度か同じ女を抱いている。情などはない、ただ女が俺の扱いが上手いだけ。あまり近寄らず、適度に距離をとり、干渉しない、身体だけの関係。それが俺には楽だった。