第24章 願い2
翌日の昼近く、明るい日の光がさし込む中、ことねは目を覚ました。
ぼんやりとしながらも、家康と俺の顔を見ると心配させないようになのだろう、「大丈夫。ありがとう」微笑んでみせ、しばらくは寝ているようにとの家康の言葉にも静かに頷いた。
が、衝立ての向こうにひいろがいるとわかると、ひいろの名を呼びながら勢いよく立ち上がり、そのままの勢いで倒れ込んだ。それでも何とかひいろの側に行こうとするので、怒る家康に抱きかかえられ部屋を出された。
そして今、俺というお目付け役をつけられ別室に寝かされている。
ことねがそんな状態で静かに寝るはずもなく、自分が倒れてからのことをこと細かく聞いてきた。時間をもて余している俺は、ことねを構いながらその問いにのらりくらりと答えていた。
ことねがおどけるように明るく話続ける時は、どこかに無理をしている。自分の苦しさを誤魔化すように、見せないように、自分は大丈夫だと言い聞かせるように言葉を吐き出し続ける。共に過ごすことが増え、分かったことねの悪い癖。
俺にそんな姿など見せる必要はないのだが、そこがことねなのだろう。なおも言葉を続けようとすることねの隣に寝転び、肘枕をして顔を覗き込む。ことねは少し驚いたような顔をしたが、すぐに気が付いたように微笑えんだ。