• テキストサイズ

イケメン戦国 ー とおまわり ー

第15章 離れる3【光秀編】



ひいろを探し出すのは自分だと思い込み城内を歩いたものの、その影さえつかめず元の座敷へと足を向けた。


「……ひいろ」


小さく名前を呟けば、胸の奥がゆらゆらと揺らめく。『俺が側に入れば……』という独りよがりな思いは、妙な焦りと虚しさを胸の奥へと植え付けた。
誰にも届かぬため息をついて、戻っていればとの期待を込めて襖を開ける。


「おかえりなさい」


待っていたのはことねだった。
俺が一人と分かると、少し寂しそうに笑って見せた。


「ひいろちゃん、まだなんです」

「そうか」


ことねの手には顔の塗りつぶされた自分の絵があった。その絵に目を落とし、寂しそうにことねが呟く。

「なにがいけなかったのかな」

「ことね?」

「私、ひいろちゃんの絵をずっと見てたから、会えたのが嬉しくて……迷惑だったのかな」

「お前が原因とは限らないだろ」


ことねが顔を上げ俺を見る。


「何も分からないうちから自分を責めるな。ひいろのことは本人に聞くまで何も分からない。余分なことに知恵を使って、辛気くさい顔をするな」

「なっ!!………にゃんで……」


言い返そうとすることねの両頬を摘まんで引っ張る。



/ 382ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp