第13章 離れる【光秀編】
「どうした、光秀」
俺のため息が聞こえたのか、後から政宗の声が聞こえ隣に立つ。
「あぁ、あいつらか。最近よく一緒にいるな」
俺の視線をたどり前の二人の様子が見えたのか、少し面白くなさそうな顔をする。
「ことねの奴、随分めかし込んでるな」
「今日は織田の姫として、いろは屋へのお披露目だからな」
「ひいろだったよな、絵師の娘の名は。ことねは祭の時に一度会ったんだってなぁ。綺麗な娘だって言ったが、そうなのか?」
「自分の目で確かめるんだな」
「そうだな。やっと俺も会えるんだもんな。まぁ、お前と女の好みが一緒とは限らないからな、自分の目で確かめるか」
そう言ってにやりと笑うと政宗は歩く早さをあげ、前の二人の間に入って行った。
何だかんだ言っているが、政宗もことねのことを気に入っているから家康と二人でいるのが気に入らないのだろう。
間に入るとことねの顎をとり、顔を近づけて何かを言っている。ことねの頬がさらに染まり、今度は家康が面白くない顔をする。
「いつまで遊んでいるんだ」
そう言って俺が追い抜くと、にやにやした政宗が続き、家康が少し困ったような顔をしたことねの手をとり後に続く。