第16章 West Coast(芥川龍之介)
めったに煙草は吸わない彼女が。
ゆらゆらと煙を立ち上らせて。
煙草をくわえて、テラスに腰掛けていた。
見れば姐さんと中原さんも一緒で。
あぁ、会議でなにかあったのだな、と、否が応でも察しがついた。
「…なにかあったのですか。」
コホ、と咳をこぼしながら声をかけると、三人が視線をこちらに向ける。
そして、誰が言うんだとばかりに顔を見合わせ、女性陣二人に押されるように中原さんが口を開いた。
「…黒蜥蜴に匹敵するくらいの、もう一つの組織を作りたいんだと。こっちは主に拷問担当だがな…。」
「ほぅ?何故でしょう?黒蜥蜴では足りないということでしょうか?」
僕が聞くと、彼女が首を振った。
「違う。裏切り者からより多くの情報を引き出したいだけ。今のポートマフィアのやり方では、報復はできても情報収集は不十分だから。」
なるほど、と頷くが、どうも解せない。
「で、それで何故こんな雰囲気に?」
僕が尋ねると、姐さんが笑った。
「それを一任されたのが中也と深愛だったんじゃがな?ほれ、こやつらは基本暴力でものを片づける傾向があるじゃろう?確実に向いてないとごねておってな。」
「あー…。」