第15章 【R18】Body moves(中島敦)
「くぉら敦ぃ!!!」
翌日、探偵社に響いた怒号に、社員全員がびくりと震えた。
「あんた!昨日深愛を襲ったね!?この馬鹿が!獣!一物切り取ってくれるわ!」
「うわぁぁぁあ!よ、よよよ、与謝野先生誤解です!誘ってきたのは深愛で…!」
「うるさい!そこをぐっと堪えるのが男ってもんでしょうが!しかもどんだけ無理させたんだい!熱は下がったのに腰が痛くて歩けないんじゃ、出勤できないじゃあないか!」
ぶくく、と笑いをこらえる社員たちに、僕は小さくなって助けを求めるが。
「敦君が悪いね。」
「獣か、貴様は。」
太宰さんや国木田さんはともかく。
「さすがに風邪を引いた子を襲うのはなぁ。」
「敦君、女の子は大切にしないとですよー。」
谷崎くんと賢治君まで僕の敵では味方もいない。
「…もう死にたい…。」
そうこぼした僕が断末魔の悲鳴をあげるまで、あと数秒。
(それでも悔いなし、我が人生)