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【文豪ストレイドッグス】愚劣なる恋愛詩

第7章 Hit me harder, again (続、福沢諭吉)


「噛んで!」

「…なに?」

 流石に社長も面食らっている、とわかったけれど、私の口は止まらない。

「噛んでください!世界の理を覆すよりずっと簡単ですから!」

「しかし…。」

 社長は、しばらく躊躇っていたようだったが、私の中のダイヤモンドよりも固い意志を見て取ったのか、やがて気遣うように私の肩を撫でると、ガブリ、と肩に歯を突き立てた。

 短い悲鳴が私から漏れ、社長の腕が強く私を抱きしめる。

「…社長…さっきお店で言った英語…。」

 社長が私の髪を払いのけ、もう一度歯を立てる。

 それだけで私の体は絶頂を迎えたように痙攣するが、私は言葉を紡ぐ。

「…貴方は私を導く光…私はいつでも貴方とともにいる…いつでも…、どこでも…、貴方ガ望むなら。…狂ったように貴方を愛して…心が焼けるように熱いのは…貴方のせい…。」

 って意味です、と言うと、社長は顔を上げて私を見る。

 ぽろっと私の目尻から涙がこぼれた。

「あのね…っ。」

 嗚咽混じりの声は、静かな部屋に響いていく。

「…っ、好きなんです…っ。私がいないと生きていけなくなればいいって思ってるし…いっそ貴方の体の中に入り込んで、体の中駆けずり回って、私のことを考えずにはいられなくなるようにしてしまいたいとすら思うんです…。」

「深愛…。」

 社長の声が私を呼ぶ。

 私は「こどもっぽくてごめんなさい」とか細く言う。

「もっと…もっと強く噛んで…。」

 私の言葉に答えるように、肩に噛み跡が増えていく。

 痛みの合間に社長の言った言葉に、私はたまらず社長の唇を求める。

「そんなことを言われなくても…私はとっくにお前を失っては生きていけなくなっている…。」









(もっと、もっともっともっと貴方が欲しいんです。)
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