第6章 How deep is your love? (福沢諭吉)
「深愛。」
貴方が私の名前を口にするだけで、私の心は震える。
「この書類を太宰のところに頼めるか。」
「もちろんですよ。」
社長、気づいてるでしょう?
私がどれだけ貴方のそばで働けることに感謝しているか。
そしてどれだけ私が貴方を愛しているのか。
それに、私だって気づいてますよ。
私がいて、貴方も嬉しいんだって。
だってほら、貴方の顔、気づいてないかもだけど緩んでるもの。
「深愛く~ん、頬緩みすぎ。そのデレデレ感をもう少し社長の前でも出すべきだ。」
そう言って私の頬をつついた太宰に、私はんふふと笑う。
「駄目よ。だって悔しいもの。ただでさえ随分年上で、余裕綽々な態度を取られてしまっているのに、これ以上年の差が明確になりそうな行動はしたくないもの。」
「年の差ねぇ…何歳差だっけ?えっと…45歳と21歳だから…24歳差?うわ、本当だ。ここまで離れているカップルは、私も初めて出会ったよ。」
そう、24歳って凄まじい。
だって親子ぐらい離れているし、乱歩さんは社長の息子のようなものと自称しているけれど、私は乱歩さんより5歳も年下だ。