第25章 Sweet but psycho(太宰治)
外が真っ暗になり、人がようやく眠りにつく頃。
ようやく私は深愛と共に布団に転がった。
よく自分も体力がもったなと貧弱な腕を眺めながら思う。
細くか弱げな彼女も、大きく肩で息をしながらこちらを恨めしげに眺めた。
「…何を考えてるのか、出会ってからわかったことなんてなかったですけど…。」
「…そうだろうね。」
張り付けたような返事をした私に、彼女はうつむいて小さな声で非難を浴びせる。
「乱暴すぎやしませんか。私はあなたと心中する気はないんですが。」
「まァ…それは残念だけど…けどそんなこと、どうだっていいのだよ。」
「どうでもいい?」
怒ったような彼女の声に、私は掠れた声で訴えた。
「…ずっと、君が欲しかった。」
沈黙がその場を支配した。
彼女の視線を避けるようにカーテンの隙間を覗けば、月がこちらを見つめていた。
そんなにこっちを見ないでくれ、と逃げ場をなくして私は目を閉じた。
「…そんなこと、もっとずっと前から知ってましたよ。」
「エェッ!?」
深愛の言葉に、思わず私は飛び起きた。