• テキストサイズ

【YOI・男主人公】小話集【短編オムニバス】

第2章 僕とおそロシア


『モノトーンなHistory・1』


「センセーは、何で俺のセンセーを引き受けてくれたんだ?」
日本語レッスンが数ヶ月目に入ったある日、ユーリは守道に尋ねた。
「まあ、純先輩の頼みだからというのが一番の理由で、後は俺が個人的に君の事を気に入ったというのもあるね」
「そうなのか?」
『悪童』な自分の事をそのように言う守道に、ユーリは少しだけ嬉しくなったが、
「うん、ユリオくんは何処となく純先輩に似てる所あるから」
続けられた守道の台詞を聞いて、驚愕に目を見開いた。
「有り得ねぇよ、俺がサユリとなんて!」
「そう?」
「だって、サユリは俺と違って頭も育ちも良いし、優しいし、似てるトコまるでねぇもん!」
「いや、俺は君を初めて見た時から純先輩に似てると思ったけどね」
素っ頓狂な声を上げるユーリとは対象的に、守道はのんびりと自分のスマホを取り出した。
「京都人な純先輩の外面の良さは天下一品だからなあ。でも、内面は元アスリートだけあって頑固だし、筋の通らない事には滅茶苦茶厳しいどころか激しいから」
「そうなのか?」
ヴィクトルと口喧嘩をしている時を除いて、常に優しく穏やかな姿勢を崩さない純しか知らないユーリは、戸惑いがちに返す。
「うん。これは、俺がロシアに留学する前の事なんだけど…」
ユーリの反応が面白いのか、守道はくつくつと笑いながら話を続けた。

純と守道の大学は良くも悪くもリベラルな所で、時としてそれがとんでもない方向へ動く場合も少なくなかった。
ある朝、偶然キャンパス内で出会った純と守道は、そのままゼミまで一緒に歩いていたのだが、ふと校舎への敷地一帯が、バリケードに塞がれているのを目撃した。
「何やねん、コレは!?」
「昨日はこんなの見かけませんでしたが…一晩でここまで作るとは、手慣れてますね」
「そういう問題と違うやろ!?このままじゃゼミに行かれへんわ!教授とレポートチェックの約束しとるのに!」
取り敢えず、自分が今在校している事を知らせる為に、純は教授の携帯に電話をかけた。
「全く!反体制やら政治がどうや言うんは個々の勝手やけど、そうした主張は永田町でせぇや!」
/ 230ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp